20161212

ホームヘルパー奮闘日記

羞恥心から介助を遠慮されたが心を開いてくれた……前編

脳梗塞(のうこうそく)による右半身麻痺(まひ)のある要介護1のKさんは、うつ状態もあって人と関わるのが苦手な82歳の女性。「汚いから」「迷惑をかけたくないから」と排泄や入浴の介助を遠慮されていました。

この現場の主人公
江原弘美さん(仮名)45歳 訪問介護歴8年
親の介護でお世話になったホームヘルパーの仕事ぶりに感激し、訪問介護の世界へ。臨機応変に対応する力があり、利用者家族からの信頼も厚い。

援助ができない。情けないやら焦るやら……
10月×日(訪問前打ち合わせ)
週2日、Kさんの訪問介護を担当することに。近所に住む娘さんから「右半身麻痺の母は尿意を感じてからトイレまで間に合わないので介助を頼みたい。入浴も合わせてお願いしたい」と要望があったそう。ただし、Kさんはうつ状態で人との関わりが苦手とのこと。うつの方の援助は経験があるし、何とかなるだろう。

10月×日(訪問初回)
配慮のある対応を心がけたが、まったくダメだった。Kさんは緊張した面持ちで「介助なんて申し訳ない」と一言つぶやいたきり、こちらの声かけに応じてくださらず、時間だけがすぎていった。次回こそは!

10月×日(訪問5回目)
相変わらず、何の進展もなかった。「トイレに行きませんか」と声をかけたが「大丈夫です」。入浴をすすめると「恥ずかしい。迷惑かけたくない」。何もできず、情けなくなってきた。

11月×日(訪問6回目)
援助がうまくいかない焦りがよくなかった気がして、今日は雑談から始めてみた。「若い頃は何をなさっていたのですか」と伺ったら、「専業主婦で」とポツリポツリ話してくださった。少し緊張がほぐれたのを見計らって、「トイレに行きませんか」と伝えたら、杖を取って移動してくれた。「あとは大丈夫」とドアをバタンと閉められたので、それ以上の介助はできなかったがすごい進展!同時に思った。Kさんには「焦らずゆっくり」の接し方がいいのでは。事業所に戻ってサ責に報告し、「まずは排泄介助のみからのサービス」を提案。サ責がケアマネに相談してみると言ってくれた。

11月×日(訪問10回目)
ひとまず排泄介助のみのサービスに変更してから、トイレへの移動には応じてくださるようになった。少しずつ受け入れてくれているので、そろそろ大丈夫だろうと思い、ドアのすき間からそーっとのぞくと片手で上手に着脱していた。ただし、排泄後はうまくふけていないよう。部屋に戻ってから「今度はトイレ内でもお手伝いさせてください」とお願いすると「少しなら」と。また一歩前進!

11月×日(訪問12回目)
今日はドアを開けたまま、トイレでの見守りができた。排泄後、陰部洗浄を申し出たが「恥ずかしいから」と断られた。そこで使っていない様子のウォシュレットの使用を提案。羞恥心の強いKさん。無理強いするのではなく、心の負担が少ない方法で介助したい。

イラスト/タナカユリ

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  • 2016年12月12日

この記事はこの号に掲載されています

羞恥心から介助を遠慮されたが心を開いてくれた……前編

へるぱる 2016 冬号54-55ページに掲載

おもな特集

  • 片麻痺・リウマチ・椎体圧迫骨折・パーキンソン病 症状別の配慮ポイントで介助術を見直そう!
  • 訪問介護サービスの 必須書類 そろっていますか?
  • 訪問介護のいろはがわかる!イラストで解説! やさしい「老計第10号」[4]

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