20160831

ホームヘルパー奮闘日記

言葉が聞き取れなくてうまく介助ができず……後編

ひとり暮らしの68歳のMさんは、脳梗塞(のうこうそく)による右半身麻痺(まひ)で要介護3の男性。病気の後遺症で言葉も不明瞭。意思疎通が取れていた前任者が異動することになり、新たに担当することになりました。

この現場の主人公
前田明美さん(仮名)45 歳 訪問介護歴1年半
常勤ホームヘルパー。経験は浅いが、柔らかな物腰とていねいな仕事が好評で「前田さんでなければ」という利用者も。

片手でもラクに生活ができるよう工夫したい
9月×日(訪問6回目)
顔に目やにがついているのに気づいたら、「顔を拭いて」が聞き取れた。これまで言葉に気を取られ、Mさんの表情や態度をしっかり観察していなかったかも。きちんと向き合えば言葉も聞き取れるようになるのかな。

9月×日(訪問7回目)
とにかく表情や態度を見ながら話を聞くように心がけたら、何となくわかるようになってきた。これからはMさんのペースに合わせた介助ができそう。

9月×日(訪問8回目)
言葉がわかれば、良好な関係が築けると思っていたけれど……。今日「顔の拭き方が悪い」と手を払われてしまった。しかも、何が悪かったのかわからなくて「怒らないでください」とお願いして困らせてしまった。でも、Mさんは私に怒ったのではなく、不自由な体にイライラしていただけかも。実際、右手を使わずに食事してみたら想像以上に大変。Mさんはどれほど辛い思いをしているのかな。少しでもラクに生活できるよう、サポートしたい。

10月×日(訪問9回目)
Mさんはいすに座る時も立つ時も左手をテーブルにおいて体を支えている。左手の邪魔にならないよう、湯飲み茶碗はテーブルの端ではなく、中ほどに置くことにした。

10月×日(訪問10回目)
食事の際、小鉢の煮物に手をつけなかった。「お嫌いですか」と伺ったら「あったんだ」と。右側に置いた小鉢が見えなかったよう。右半身麻痺の方は右目も右耳も機能が落ちると前任者から聞いてはいたけれど、こういうことだったのかとようやく理解。手順書も再確認して納得した。

11月×日(訪問3ヵ月目)
Mさんの状況に合わせ、工夫しながら介助するのが楽しくなってきた!私も少し慣れて余裕がでてきたかな。毎回の訪問が待ち遠しい♪

12月×日(訪問4ヵ月目)
Mさんは無口な方。仕事一筋で独身を通したらしいけれど、仕事の話もしない。今も会話らしい会話はないものの、互いに気心が知れて穏やかになってきた。ようやくここまで辿りついた感じ。これまで以上に快適に暮らせるよう、お手伝いをしていきたい。

振り返って、今思う私がうまくいったワケ
・言葉が聞き取りにくい分、表情や態度をよく観察した
想像力も働かせてMさんに向き合うと、言葉がわかるように。細かい仕草や動きにも気を配っていたら、片麻痺の方に合わせた暮らしの工夫もできるようになりました。

・相手に合わせたコミュニケーションを大切に
会話が苦手な方なので無理に話しかけたり、話を促したりはしませんでした。Mさんの性格を尊重したからこそ、穏やかな関係になることができたと思います。

イラスト/タナカユリ

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  • 2016年08月31日

この記事はこの号に掲載されています

言葉が聞き取れなくてうまく介助ができず……後編

へるぱる 2016 秋号59ページに掲載

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