【よくある悩み1】すぐに話が途切れてしまいます
A.「〇〇はできますか? できませんか?」という一問一答を繰り返すだけでは、すぐに話が終わってしまい、深い聞き取りになりません。ポイントとなるADL・IADLについて、利用者ごとに困っている点が違うという意識を持って話を聞き出しましょう。例えば、同じように「買い物に行くのが大変」という内容でも、「 ひざの痛みで店まで歩くのが大変なAさん」と「認知機能の低下で支払いが難しいBさん」では、まったく異なる支援が求められるはずです。また、部屋の様子や服薬状況など、話以外から収集できる情報も大切です。
【よくある悩み2】デリケートな話に踏み込めません
A.特に排泄行為などデリケートな話題について、アセスメント中にすべてを聞き出すのは難しいもの。聞く相手や場所を変えるなどして、徐々に情報を集めていきましょう。例えば、利用者だけ・家族だけと話す時間を設けたり、帰りがけの玄関先でさりげなく追加の聞き取りをしたりと、本音を引き出せるような工夫を凝らしてみましょう。また、認知機能や精神状態を聞き取る際には、「うつ状態になることはありますか?」など直接的な聞き方をするのではなく、趣味や友人関係、生活パターンといった具体的な行動に関連させて尋ねる方法がよいでしょう。
本誌ではアセスメント表のほか、「訪問介護計画書」「手順書」等各書類の書き方のポイントをわかりやすく解説しています。
柴田範子(しばた・のりこ)
NPO法人「楽」理事長として、小規模多機能型居宅介護「ひつじ雲」、サテライト「くじら雲」を運営する。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会委員。元・東洋大学ライフデザイン学部准教授。『イラストでわかる介護職のためのきちんとした言葉のかけ方・話の聞き方』など、著書も多数。イラスト/仲野ひかる