利用者のお宅を訪問してサービスを行うホームヘルパーは、「自分が感染源にならない」ことを常に心がける必要があります。自分がかからない、そして利用者にうつさない感染管理の基本を頭に入れ、実践しましょう。
ウイルスや細菌が体内に入って増殖することを「感染」といいます。感染の結果、発熱や下痢、嘔吐など病気の症状が現れたものが「感染症」です。しかしウイルスや細菌に感染はしているけれど、病気を発症しないこともあります。これを「保菌」状態といいます。
感染症という病気になるか、保菌状態のまま発症しないでいられるかどうかは、ウイルスや細菌の量&力と、体が持っている抵抗力・免疫力のどちらが強いかで決まります。
症状が現れていなくても、ウイルスや細菌を持っている保菌状態の人は、まわりの人にうつす感染源となる可能性があります。利用者の家から家へと移動するホームヘルパーは、「もしかしたら自分は利用者にうつすウイルスや細菌を持っているかもしれない」「自分が利用者から利用者へとウイルスや菌を媒介してしまうかもしれない」と常に考えて、感染対策を心がけましょう。
施設や病院などでは、同室の人に感染が起こりやすいものです。しかし訪問介護の場合、ホームヘルパーが1軒ごとにきちんと感染予防を心がけることで、感染の拡大を防ぐことができます。
本誌では感染症を発症している利用者と接する際の「標準予防策」+「経路別予防策」等役立つ対策を詳しく紹介しています。
監修/西川美由紀
日本赤十字社医療センター 看護部 感染管理認定看護師 副師長
東京医療保健大学大学院感染制御実践看護学講座、日本赤十字社助産師学校、心身障害児総合医療養育センター養育研修所などの非常勤講師を務める傍ら、2018年より東京医療保健大学大学院感染制御学博士課程在学中。取材協力/株式会社ナース・ステーション
(事業本部長 関口真充 看護部長 鈴木加津美)取材・文/植田晴美 イラスト/しまだ・ひろみ