まずは利用者の思いに寄り添うことを心がけて
人は誰しも、自分の私生活をさらけ出すことに抵抗があるものです。もちろん、介護サービスを受ける利用者も同じです。自身の情報を「知られたくない」、私的な姿を「見られたくない」── 利用者がそう思うのは、とても自然なこと。また、利用者の家族がそのような思いを抱くこともあるでしょう。
とはいえ介護サービスは、利用者のプライバシーに立ち入ることで実現するともいえます。なかでも訪問介護は、“個人情報にあふれた利用者の自宅”という、もっとも私的な空間でおこなわれるもの。つまり、ホームヘルパーは相手の私的な領域に立ち入ってケアを実施することになります。だからこそ、プライバシーを侵害して利用者や家族を傷つけることのないよう、十分に注意する必要があります。
忙しい日々の業務のなかでは、ついつい「より高い介護技術」や「効率のよい動き」といったことに目が向いてしまいがちです。しかし、もっとも大切なのは、「自分が同じことをされたらどう感じるだろう?」という視点を持ち続け、利用者の気持ちに寄り添うこと。その気持ちがあれば、技術や効率のよさは後から自然についてくるものです。
利用者との信頼関係を大切にしながら、プライバシーを尊重して日々のケアに当たることを意識してみましょう。
利用者目線で「プライバシー」を考えることで……
- より細やかで行き届いたケアにつながる
- 利用者や家族のサービスに対する満足度が上がる
- 信頼を得ることで、結果的にクレームなどのリスクが低下する
本誌では訪問時に気をつけたいプライバシー配慮のポイント、介護記録の書き方のポイント、ワークショップのしかたなど役立つ情報を多数紹介しています。
監修/株式会社ツクイ ツクイ横浜緑
上梶麻紀子
介護福祉士、介護支援専門員。訪問介護・居宅介護支援の管理者を務めるほか、相談支援専門員としても利用者を支える。二宮葉月
介護福祉士。訪問介護事業限定管理者・サービス提供責任者を務めながら、研修計画や資料作りも担当。イラスト/舩附麻衣