Q 一部介助の利用者から「初めから食べさせてほしい」と頼まれました。対応できますか?
新規契約をして1ヵ月が経過した利用者です。最初のうちは、こぼしながらも自分で食べていたのですが、疲れてしまうのか、最近はホームヘルパーに食べさせてほしいと訴えるようになりました。
訪問介護計画書では、「左手を使って食べることを声かけや見守りで支援する。疲労や震えがあれば食事介助もおこなう」となっているので、介助できなくはないのですが、頑張ればまだ自分で食べられそうなときも介助を求めてきます。
本来は頑張り屋で、入院中は同じ病気の患者さんと「どちらが先に退院できるか」を張り合いながらリハビリに励んでいたそうです。しかし、自宅に戻ってからは、徐々に依存的な言動が目立ちはじめました。
A 全介助は適切ではありません。“自分で食べるメリット”を上手に伝え、自立に向けた支援をおこないましょう。
この利用者の場合、リハビリ中は頑張るけれど、いざ自宅での食事となると、ついつい甘えが出てしまうのでしょう。でも、その要望に応えて介助をしてしまうと、左手の機能が低下してしまうなど、自立とは真逆な支援となり、不適切と判断されます。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン 改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ