利用者の多くは、何かしらの疾患をもち、薬を使用しながら生活しています。ホームヘルパーとして、利用者が使用している薬への理解を深めることはよりよいサービスにつながります。
この連載では、薬の基本的情報に加え、その薬が生活にどう影響するのかを解説します。
抗不安薬をはじめ、睡眠薬や抗うつ薬といった薬は、「飲むとクセになる、止められなくなる、ボケてしまう」と考えられがちです。たしかに副作用として依存性が生じてしまう場合もありますが、医師の診断を基に、適切な量を適切な期間、継続して使用することが患者の不安解消のためにとても重要です。利用者を不安にさせるような「なるべくなら飲まないほうがいいですよ」などという言葉をかけることは避けたいもの。そのためにも、“抗不安薬”というものを正しく理解することが大切。例えば、イラストのような、ふらつきによる転倒も副作用として考えられるもののひとつです。
本誌では、症状の現れやすい場面や処方される薬の特徴などを、訪問介護職が関わりやすい点から解説しています。
監修/堀美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携! お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断』(じほう)などがある。
イラスト/佐藤加奈子