利用者の希望で一緒に掃除をしています。しかし、高次脳機能障害があって、実際にはほとんどできていません。むしろ汚している状況です。それでも気持ちを尊重して、一緒に掃除したほうがよいですか?
A 自立支援の観点から判断すると、よいことです。方法を工夫して何かできることを見つけましょう。
掃除の支援は部屋をきれいにするという目的のほかに、本人が自ら掃除ができるようにするという目標も重要です。この場合、「できる・できない」は別として、本人の希望を尊重した支援が望ましいといえます。
【こう考えよう】
支援する側からすると、「部屋をきれいにしなければならないのに、利用者がむしろ汚している!」という状況は我慢できないかもしれませんね。しかし、本人自ら「掃除がしたい」ということであるなら、それを一番尊重すべきでしょう。
実際にはほとんど掃除ができないのであれば、方法を工夫するとか、本人にできることからはじめてみるなどプロとしての支援が必要です。
おそらくリハビリテーションも活用していると思いますので、理学療法士などと連携し、「現在できること」「これからできるようになること」を整理して、支援していくという調整が重要になります。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A訪問介護サービスのグレーゾーン 改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ