介護ベッドの底板は3〜5枚に分割され、それぞれがモーターによって動くことで背上げや膝上げなどの機能を支えています。介護ベッドの機能を効果的に使うには、まず、「寝位置が正しいかどうか」という視点で、使う前に利用者の寝位置を確認することが大切です。ずれた寝位置のまま操作してしまうと、背上げ時に強い圧迫が生じたり、いわゆる「ずっこけ姿勢」になったりしてしまいます。またある施設では、正しい寝位置を確認するよう指導したことにより半年後、介護ベッドからの転落事故の件数が1/3になったということがありました。これは別の見方をすると、不適切な寝位置によって多くの転落事故が起こっていたということです。介護ベッドは利用者の身体の状態に合わせ、利用者が目標にしている生活を実現するために選ばれたものです。正しく使うようにしましょう。
誌面では、利用者が実際に介護ベッドを使用している写真も多数掲載して実例を紹介し、詳しく解説をしています。ぜひ、参考にしてください。
監修/市川洌
早稲田大学理工学部卒業。東京都補装具研究所、東京都福祉機器総合センターで福祉機器の研究等に従事したのち福祉技術研究所株式会社を設立。高齢者・障害者に対する各種福祉用具支援やコンサルティング、福祉関連従事者に対する福祉用具支援を中心とした講習会・講演等を積極的におこなっている。著書に『ひとりひとりの福祉用具─福祉用具支援概論─』(日本工業出版)、『滑らせる介助の技術 スライディングシート・トランスファーボードの使い方』(中央法規出版)など多数。
イラスト/藤田侑巳