ここからは、フレイルやサルコペニアの予防を含め、具体的に栄養対策として何ができるか、何をすべきかをみていきましょう。
食事の状況を把握する
●食事量はどうか?
まずは利用者がきちんと食事を摂っているかをチェックしましょう。「高齢になると若い頃より、食べる量が減っても当然」と思いがちですが、高齢でも健康な人ほど変わらぬ食事量をキープしているものです。
調理援助や食事介助をしている場合は、食べ残していないか、食べる量に変化がないか等々、すぐに把握できるでしょう。
それ以外の場合でも、ごみ箱や冷蔵庫などを見て、食材や料理の減り方を確認したり、調理した形跡を観察したりしましょう。
「最近、おいしく食べられていますか?」「食パンが減っていませんでしたが、朝ごはんは召し上がりましたか?」など、こまめな声かけも大事です。
●食事の内容はどうか?
「食事量」だけではなく、「何を食べているか」という内容も非常に重要です。特に、筋肉を作る材料になる肉、魚、卵、牛乳、大豆・大豆製品などのたんぱく質は積極的に摂る必要があります。
また、病気や老化に関わる酸化や炎症を防ぐビタミンが豊富な野菜や果物をはじめ、栄養はいろいろな食品から摂るのが理想です。下に紹介している「食品多様性スコア」を使い、利用者が毎日どんな食品を食べているか確認してみましよう。
食品多様性スコアの数値が低いと、認知症や要介護になりやすいという報告があります。また軽度アルツハイマー型認知症の場合、食事の量や内容を見直すと症状の改善や進行抑制がみられたというデータもあります。
本誌では具体的な栄養対策やチェックポイントを取り上げています。
監修/山口潔
医療法人社団創福会ふくろうクリニック等々力理事長・院長。医学博士。東京大学医学部附属病院老年病科非常勤講師。日本認知症学会専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本老年医学会老年病専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医、日本緩和医療学会指導者研修会修了。取材・文/植田晴美 イラスト/斉藤かこみ