人の歩行は、多くの研究者が長い年月をかけてつくり上げたロボットでさえ、未だ真似できないほど複雑な仕組みをしています。その歩行を支える歩行補助用具は、歩行に何らかの支障が生じてきた人が使うものですが、完全にカバーすることは困難で、絶えず危険が伴います。長い目でみて危険が少ない用具を理学療法士や作業療法士などの専門職のアドバイスを受けて適切に選択し、正しい使い方を教えてもらう必要があります。
『へるぱる 2025 1・2月』では、杖・歩行器・歩行車など、代表的な歩行補助用具とその特性を解説します。いわゆる“シルバーカー”は、なぜ歩行補助用具とは言えないのか、なぜ歩行補助用具は使い始めが肝心なのか、なども実例写真やイラストで解説。トイレまで車いすで移動していた利用者が、歩行車を使用したことで自立できた例も写真でご紹介しています。ぜひ、参考にしていただければと思います。
監修/市川 洌
早稲田大学理工学部卒業。東京都補装具研究所、東京都福祉機器総合センターで福祉機器の研究等に従事したのち福祉技術研究所株式会社を設立。高齢者・障害者に対する各種福祉用具支援やコンサルティング、福祉関連従事者に対する福祉用具支援を中心とした講習会・講演等を積極的におこなっている。著書に『ひとりひとりの福祉用具─福祉用具支援概論─』(日本工業出版)、『滑らせる介助の技術 スライディングシート・トランスファーボードの使い方』(中央法規出版)など多数。
イラスト/藤田侑巳