毎回の記録を継続的なケアにつなげる
さまざまな目的のために活用できる大切な記録
サービス提供記録は、その名の通り、その日に提供したサービスの内容を記録するものです。予定通り行ったケアについてはチェック欄へ記入し、自由記述欄に利用者の様子を記すという形式が一般的です。
介護報酬の請求において根拠となる必須書類であり、訪問するホームヘルパー間で利用者の最新情報を共有し、後から見返せるようにすることで、質の高いケアを継続的に提供することにもつながります。万が一、事故やクレームがあったときには、適切なサービスを行っていたことを証明する書類となり、ホームヘルパーを守ってくれるでしょう。
利用者のニーズを理解することで充実した記録を
特に自由記述欄については苦手意識を持つホームヘルパーも少なくないようですが、「書くことが思い浮かばない」と空欄のままにしてしまうことは避けたいもの。あらかじめケアプランや訪問介護計画書を確認し、利用者のニーズを把握してからサービスに入っていれば、何かしら書くことがあるはずです。「利用者や家族の印象的な言動」「いつもと比べて変化がわかる場面」「ホームヘルパーが意識して行った声かけ」などを中心に、少しずつでも記録を残すように心がけましょう。
「いつもと同じ」はなぜダメ?
毎回のサービス後に急いで記入することも多いためか、自由記述欄には「特変なし」とだけ書いてしまうケースがあるようです。しかし、これでは内容に具体性がまったくないため、「何も観察していなかったのでは?」と誤解されてしまうおそれも。「何について変化がなかったのか」「何を根拠にいつもと同じだと判断したのか」という視点を持つことで、意味のある記録を残すことができます。
本誌ではこのほか自由記述欄のポイントを3つにわけて解説しています。
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監修/柴田範子
NPO法人「楽」理事長として、小規模多機能型居宅介護「ひつじ雲」、サテライト事業所「くじら雲」を運営する。神奈川県社会福祉審議会委員。元・東洋大学ライフデザイン学部准教授。『イラストでわかる介護職のためのきちんとした言葉のかけ方・話の聞き方』など、著書も多数。イラスト/オカムラナオミ