介護の仕事では、利用者の希望に沿うのが難しいと感じたり、対応に迷ったりすることがよくあります。現場の皆さんは日々知恵を絞り、対応していると思います。こうした問題に向き合うには「倫理的視点」をもつことが欠かせません。今回は、様々な場面で倫理的な対応をするために知っておきたいことを学びます。
倫理的な対応というと、「利用者の思いを尊重する」などが思い浮かぶかもしれません。当たり前のように感じ、誰もが守るべきことだと思われがちですが、実際には、それだけですべてがうまくいくとは限らないことも多いのではないでしょうか。
『へるぱる 2025 9・10月』では、利用者本人のほか、家族、介護職、医療職など様々な人が関わる介護において、互いに理解し合い、どうすべきかを模索していくための“道しるべ”こそが倫理的視点であると考え、問題解決のための考え方と原則を、事例に沿って解説します。
監修/中村裕子
株式会社日本ヒューマンヘルスケア研究所 代表取締役・所長。医学博士・保健学修士。行動神経学(米国UCLA医学部)や生命倫理学(米国ジョージタウン大学ケネディ倫理学研究所)を中心に、言語聴覚士や介護福祉士の養成教育、指導者講習の講師、学会大会長などを歴任。現在は大学での講義、全国各地の講演会、研修会などで活動中。仙台白百合女子大学人間学部教授、聖隷クリストファー大学社会福祉学部教授・大学院教授を経て現職。
イラスト/浅羽ピピ