介護現場では「事故をゼロに」「絶対に事故を起こさない」といった目標が、声高に掲げられがちです。しかし、こうした目標には大きな問題があります。なぜなら、どんなに注意しても、介護現場ですべての事故を防ぐのは現実的に不可能だからです。専門知識・技術がないと防げない事故や、どのような対策を講じても防げない事故というものが存在します。
例えば、ホームヘルパーの訪問中に、自立歩行できる利用者が自発的に動いた結果、運悪くケガをしたとします。それをホームヘルパー個人の責任にして、注意したらどうでしょう。
「訪問中は、立ち上がったり、歩いたりしないでください」と利用者に伝えるホームヘルパーが出てきたとしてもおかしくありません。これは介護の本質を欠いているばかりか虐待にもなり得ます。
こうした的外れな対応を防ぎ、意味のある事故再発防止をおこなうにはどうすればよいのかを『へるぱる 2025 11・12月』では取り上げています。事故を「質」で5つに分類し、それぞれに合った取り組みを紹介しています。研修資料としてご活用ください。
監修/山田 滋
介護・福祉の事故防止について専門に研究している、株式会社安全な介護 代表取締役。高齢者福祉施設や訪問介護事業者と取り組み、現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。各種団体や施設の要請により年間150回のセミナーをおこなっている。
取材・文/松崎千佐登
イラスト/尾代ゆうこ

