「熱中症=高齢者に多い」という情報は周知のとおりでしょう。でも、一体どれくらい起こっているのか、どんな場所で発生しているのかなどを、把握していますか? 現状を知ることで、いかにホームヘルパーの役割が大きいのか、見えてくるはずです。
熱中症により150人以上が死亡
2018年は全国各地で観測史上最高気温を更新するなど、記録的猛暑に見舞われました。その結果、熱中症による救急搬送者数も、ここ数年と比べ約2倍に増加[資料1]。ほとんどの人は軽症で済んでいますが、死亡者も多数出ており、2018年はこのうち159人が命を落としています。
また、熱中症で救急搬送された人を年齢区分別で見てみると[資料2]、高齢者(満65歳以上)が最も多く45,781人。実に48.1%を占めています。この割合は、数年間ほぼ横ばいで推移しています。
屋外より住居での発生が多い
「部屋の中でも危険」とは知っていても、やはり熱中症は屋外での発生件数が一番多いと思っていませんか? 実際には[資料3]のとおり、住居が圧倒的。みなさんのなかにも、訪問時に利用者が倒れているのを発見し、救急車を呼んだ経験がある人もいるのではないでしょうか。
以上の結果からも、高齢者は熱中症の危険と常に隣り合わせであり、その発生場所として住居が上位にあることがわかります。逆をいえば、利用者宅でサービスをおこなう訪問介護職は、その予防にも大きく関わることができるはずです。
予防は1年中大切ですが、気温がグッと上がる梅雨の晴れ間などは、急な気温の変化に体がついていかないこともあり、梅雨入り前からおこなうのが有効。いずれにせよ早めの対策を基本としましょう。
監修/秋山正子
株式会社ケアーズ 代表取締役・白十字訪問看護ステーション 統括所長。NPO法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長。認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事兼センター長。気軽に立ち寄って相談できる「暮らしの保健室」室長。「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員などを務める。取材・文/植田晴美