Aのケアや対応が明らかに正しく、Bが明らかに間違いとはいえず、利用者にはどちらも大切で必要があるというように、倫理的に微妙な立場が生じた状態を「倫理的ジレンマ」といいます。生活を支援する介護の現場では、利用者を尊重しようとすればするほど、倫理的ジレンマが生じやすく、ホームヘルパーにとって避けられない問題といえます。
誰もが経験するこの「倫理的ジレンマ」に直面したとき、後から「あれでよかったのか?」という思いで頭がいっぱいになり、1人で悩みを抱えている人もいるかもしれません。真剣に利用者のことを考えれば、倫理的ジレンマが生じるのは当たり前。そのジレンマについて考えることこそが、介護の仕事の本質であり、根幹となるものです。
例えば上のイラストのような状況。あなたならどう対応しますか? 誰もが納得する「正解」を出すのが難しいことであればあるほど、ケアカンファレンスや事業所内の話し合いなどで、意見を交換することが大切です。
『へるぱる 2026 5・6月』では、具体的な事例と考えるヒント、実際に現場から出た意見を複数例紹介しています。ぜひ誌面を見て、事業所内の話し合いの参考にしてください。
監修/酒井賢一
公益社団法人 日本介護福祉士会 常任理事(倫理担当役員)、北海道介護福祉士会 参与。訪問介護やサービス付き高齢者向け住宅などを運営する株式会社そよかぜ 参与。介護福祉士、キャリアコンサルタント(国家資格)、ビジネスコーチ(PHP研究所認定)。特別養護老人ホームの介護職からスタートし、現在は、倫理・法令遵守、生産性向上などの研修や人材育成など多方面で活躍。
イラスト/しまだ・ひろみ

