気を付けていても事故が起きてしまったとき、再発防止のためにはどのような視点から事故を振り返ればよいでしょうか?
24時間365日、利用者を守るために
実際の現場で起こる事故は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生しているもの。だからこそ、「もっと注意する」「何度も確認する」といった漠然とした対策では、再発を防ぐことは難しいのです。事故の背景にある問題点は、事例によってまったく異なるものだと理解しておきましょう。
また、介助方法の見直しは大切ですが、介護者がいるときにだけ事故が起きなければいいというわけではありません。自宅で暮らす利用者の生活を守るためには、ホームヘルパーが訪問していないときにも効果的な予防策を取ることが大切です。「24時間365日、利用者の生活を守る」という意識を持つことは、利用者の自立支援にもつながります。
分析結果や改善策は各書類へ反映しておく
分析の結果、どのようにサービスを改善するべきかが明確になったら、訪問介護計画書や手順書などの書類に反映します。ケアプランの変更は、ケアマネジャーに相談・依頼する必要があります。また、事故が発生した際の対応や連絡経路についても、関係者で共有のうえ明記しておくようにしましょう。
変更した書類に基づいてサービスを提供することで、どのホームヘルパーが訪問してもより安全性の高いケアを実現できます。さらに、利用者や家族、関係者が検討を重ねて納得したサービス内容や手順を遵守していることの証明にもなります。結果的に、事故やトラブルが発生してしまったとき、それがホームヘルパーを守ることにもつながります。
本誌では事故だけでなくヒヤリハット事例の分析のしかたも解説しています。
監修/倉井千恵
セコム医療システム株式会社 ケアサービス部課長。看護師、ケアマネージャー。1998年に入社。訪問看護、訪問介護、ケアマネジャーの実務を経て、現職。在宅介護を展開する部署で、おもに組織作り、人材の育成を担当。イラスト/みやれいこ