高齢者は、通常でも脱水症の症状が出る前の段階=「かくれ脱水」状態だといえます。そのため、ちょっとした環境の変化で急速に脱水が進み、脱水症や熱中症に! 普段からリスクを減らすことが一番ですが、もしもなった場合、いち早く対処することが大切です。
夏だけでなく冬も危険! “予防”は1年中必要
脱水状態から熱中症になり、救急搬送される人が増えるのは気温の高い夏場です。しかし、体調を崩しやすい季節の変わり目、空気が乾燥して感染症が流行る冬なども、脱水状態になる危険性があります。もともと体内の水分量が少ない高齢者の場合、季節にかかわらず、普段から予防に取り組む必要があります。
高齢者の“脱水サイン”を覚えておこう!
利用者に以下のような状態が見られたら、脱水状態へ進行した可能性が高いです。水に塩分などの電解質と糖がバランスよく配合された「経口補水液」(本誌25ページで詳しく紹介)を摂る目安にもなります。常にチェックすることを習慣にしましょう。
夏の目安は「べた・だる・ふら・いた」
【べた】
汗はかいていないように見えても、首筋など、皮膚がべたべたしている状態
【だる】
なんとなく元気がないように見える、食欲がない、といった状態
【ふら】
立ち上がるときにふらつく、いつもよりふらふらしているように見える状態
【いた】
脚がつる、顔が熱っぽい、頭痛が現れているといった状態
※「教えて!『かくれ脱水』委員会」服部委員長 作成
手の甲に「富士山」ができる
指で手の甲の皮膚をつまみ、指を離しても、富士山のような形が3秒以上戻らなければ要注意! 親指の爪の先を押してから離すと、赤みが戻るのに3秒以上かかる場合も危険信号(上記イラスト参照)。
本誌では熱中症の症状と対処法を重症度に合わせて解説しています。
監修/秋山正子
株式会社ケアーズ 代表取締役・白十字訪問看護ステーション 統括所長。NPO法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長。認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事兼センター長。気軽に立ち寄って相談できる「暮らしの保健室」室長。「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員などを務める。取材・文/植田晴美 イラスト/西脇けい子