事実を正確に捉えるためにはホームヘルパーの協力が必須
訪問介護では、ホームヘルパーが一人で訪問し、主に利用者の家庭内という“密室”でサービスを提供します。「報告したら厳しく叱責されるだろう」「自分が責任を負わなければならない」といった気持ちが強くなればなるほど、ホームヘルパーが客観的で正確な報告をするのは難しくなってしまいます。
正しい事故報告をもとに利用者へのケアを向上・改善させるためにも、正直に報告しやすい体制づくりは、管理者にとって重要な責務の一つです。それを実現するためには、
- 正直に報告すること自体が評価に値する
- 事故は「個人」ではなく「事業所」の責任
- 正確な情報があってこそ再発防止につながる
というメッセージを、繰り返しホームヘルパーへ伝えていくことが大切です。「報告しづらい事業所」ではなく、「情報共有した方が安心できる事業所」と感じてもらえるように、日ごろからの声かけや雰囲気づくりにも目を向けてみましょう。
本誌では事例をもとにした事故分析シートの作り方や再発防止チェックシートを交えて詳しく解説しています。
監修/倉井千恵
セコム医療システム株式会社 ケアサービス部課長。看護師、ケアマネージャー。1998年に入社。訪問看護、訪問介護、ケアマネジャーの実務を経て、現職。在宅介護を展開する部署で、おもに組織作り、人材の育成を担当。イラスト/みやれいこ