Q とても長湯の利用者です。以前からの習慣で、入浴前後の介助を含め、約2時間かかります。思いを尊重し、支援できますか?
【現在の状況】
利用者自身がケアマネジャーと相談し、依頼してきたケースです。デイサービスや訪問入浴なども検討したそうですが、本人の希望を受け、主体性を尊重し、また痛みの軽減という目的もあることから、訪問介護での対応が最終候補として残ったそうです。
寒い日は痛みが強く、前もって部屋や浴室を十分に温めておく必要があります。通常でも浴室をシャワーで温めてから入浴します。まずは20分ぐらい入湯し、体を温めます。その後、洗身し再度入湯10分。その後に洗髪。再び入湯し、30分ほどかけて手指などを自分でマッサージするため、入浴前後の介助も含め2時間はかかります。すべてを介護保険で対応してもよいのでしょうか?
A 様々な条件によっては支援できますが、この場合は自費での対応がふさわしいでしょう。
長時間の入浴が身体的に有効であることが確認されれば、一概に制限はできません。しかし、条件が多数あり、身体介護で算定するには難しさがあります。
【こう考えよう】
慢性関節リウマチによる痛みがあり、入浴など体を温めることで痛みの軽減が図られるのであれば、介護保険による訪問介護での対応は認められます。まずは、主治医の意見書などでその効果を確認しましょう。
しかし、2時間の支援すべてを身体介護で算定するには、常に身体に対する介助(移動、体幹保持、洗身など)をしていることが必要です。
たとえば、入湯中は何もすることがなく、そばにいるだけなら、その時間は身体介護での算定は不適切です。見守っているという考え方もありますが、見守らなければならない状態(座位が不安定で沈み込んでしまうなど)でなければ適切とはいえません。ですから、このケースの場合、一連を自費での対応にしたほうがよいでしょう。
本誌では利用者の生活歴を交えて詳しく解説しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ