Q 体重が80㎏あるため、ホームヘルパー2人体制でも限界がきています。それでも対応するのが適切ですか?
【現在の状況】
昔からお風呂が大好きで、元気な頃は奥様との温泉旅行が趣味。全国の著名な温泉地は行きつくしたそうです。自宅の浴室もこだわりがあり、浴槽は檜。大きく開放的な窓からは、庭の木々を見ながら入浴できます。浴室の広さも介助するには十分な広さです。
医師による入浴許可もでていますが、体重が80㎏あり、ホームヘルパー2人がかりでもやっと。湯船の中でも支えが必要です。シャワーチェアや浴槽台など自助具は揃っていますが、全介助のため体を持ち上げる場面が何かと多く、ホームヘルパーが音を上げています。
A できるだけ利用者の主体性を尊重し、自宅での入浴が継続できるよう、検討しましょう。
要介護5で、ほぼ全介助であっても、「自宅のお風呂に入りたい」という意志があるなら、それをサポートすることが自立支援につながります。ホームヘルパーの負担も考え、工夫しながらの支援が求められます。
【こう考えよう】
基本的には、自宅での入浴の継続を検討しましょう。しかし同時に、ホームヘルパーの負担も考慮しなければなりません。現状の支援方法を見直す必要があるでしょう。
このケースに限らず、今後の介護は体重の重さにかかわらず、「持ち上げない介護」が主流となります。ボディメカニズムを考慮したトランスファー技術の習得やリフトの導入など、介護の最新技術、最新機器類を積極的に活用しましょう。利用者に費用負担が生じる場合もありますが、自立した生活、希望する生活を保持するための必要な支援方法であることを丁寧に説明して、理解してもらいます。
しかし、リフトなどが入らない浴室もあります。他の方法を検討しても困難な場合、自宅での入浴は限界といえるかもしれません。その際には、ケアマネジャーなどを交えて、利用者にきちんと説明することが求められます。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ