Q 熱めのお風呂を希望しますが、要介護の利用者には体に悪いと思います。このまま続けていいのでしょうか?
もともと習慣的に熱めのお風呂に入っていたそうで、「設定温度は44℃で」といわれています。お湯がはねると熱いため、ホームヘルパーも音を上げています。健康面で問題がないのかも心配です。
A 好みは尊重したいところですが、体に与える影響を説明し、控える方向で支援しましょう。
要介護の高齢者の場合、何らかの疾患があり、熱いお風呂や長湯などによって体に悪影響を及ぼすことが多々あります。利用者が納得できるように理由を伝え、適切な状態・環境での入浴介助を目指しましょう。
【こう考えよう】
入浴介助をする場合、好みよりも安全性を優先しなければなりません。まずは主治医の意見書で、適切なお湯の温度に触れてもらいましょう。記載がなければ、後からでも確認できます。「お医者さんから言われているので」と伝えれば、利用者も納得しやすいものです。
疾患に影響がなかったとしても、一般的に高齢者は皮膚が弱く、熱いお風呂の後に皮膚が乾燥し、場合によってはかゆみなどにつながることがあります。そのあたりも含めて説明しましょう。
また、お風呂上がりに水をかける習慣のある利用者もいますが、同様に懸念される影響を説明し、避けてもらうように努めましょう。
本誌では、入浴介助や清拭の際に迷いがちな事例と対応方法について詳しく解説しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ