特記事項の欄を活用するのがポイント
基礎情報をチェック項目に記録するだけでは、十分なアセスメントとは言えません。利用者や家族から聞き出した情報は、特記事項の欄などにどんどん記入していきましょう。「歩行:自立」とチェックしても、「若いころと同じように歩ける人」「ゆっくり時間をかければ歩ける人」「何とか歩けるが強い痛みを伴う人」では体の状態がまったく違いますし、必要となるケアも大きく異なるはずです。
具体的なプロセスに分けて考えてみよう
ポイントとなるADL・IADLについては、流れをプロセス化して考えながら「できる・できない」を把握することがお勧め。例えば洗濯なら、「天候の判断」「色物・柄物など洗濯物の仕分け」「洗剤の計量」「正しいボタンの選択」「広げて干す」「取り込んでたたむ」といった数多くのプロセスに分けることができます。一口に「洗濯はできない」で終わらせるのではなく、「洗濯するとき、何が一番大変ですか?」と聞きながら、どの行為ができないのか、どこまではできるのかを具体的に知ることが大切です。そこから、体のどの機能に問題が生じているのか、より詳しく分析することにもつながります。
柴田範子(しばた・のりこ)
NPO法人「楽」理事長として、小規模多機能型居宅介護「ひつじ雲」、サテライト「くじら雲」を運営する。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会委員。元・東洋大学ライフデザイン学部准教授。『イラストでわかる介護職のためのきちんとした言葉のかけ方・話の聞き方』など、著書も多数。イラスト/仲野みどり