実地指導では、膨大な量の書類や資料を用意する必要がありますが、介護保険法や労働法に基づいて適正に運営していれば、おのずと整備されるものです。普段から万全な体制で業務をおこない、自信をもって実地指導を受けられるようにしておきましょう。
とはいえ、些細なミスは人間ならば誰しもあり、それを恐れる必要はありません。例えば記録の一部分の漏れや誤記などは、その場で注意を受ければ済みます。
では、実地指導では何を重点的におこなうかというと「運営指導」と「報酬請求指導」の2つです。それぞれの内容を把握し、何が必要か確認して備えましょう。
実地指導で重点的におこなわれる内容(一例)
「運営指導」では
- 一連のケアマネジメントプロセスの重要性について理解を求めるためのヒアリング。
- 利用者の生活支援のためのアセスメントを適切におこなうための指導。
- 個別ケアを推進し、尊厳ある生活支援の実現に向けたサービスの質の確保・向上が図られるよう運営上の指導。
- 高齢者への虐待防止、身体拘束禁止等の観点から、虐待や身体拘束に係る行為及びそれらが与える影響についての理解を図るための指導。
「報酬請求指導」では
- 報酬基準に基づき介護保険給付の適正な事務処理をおこなっているかの確認。
- 基準要件に適合した加算に基づくサービスの実施をおこなっているかの確認。
- 不正請求の防止と制度管理の適正化を図るための指導。
本誌では、実地指導を経験した人が確認・指導された経験談や必要な書類なども紹介しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン 第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/細川夏子