高齢になると、身体機能の低下などが原因で、飲み込みづらい、物を噛(か)む力が弱くなる、むせやすい、口の中が乾燥するなど、うまく食事がとれない場面が増え、誤嚥や窒息といったトラブルを引き起こしやすくなります。
食事は、毎日欠かせない行為ですから、間違った方法での食事介助を続けることは、誤嚥や窒息のリスクがさらに高まる結果を生んでしまいます。
訪問時には、次の点に十分に注意しながら、適切な食事介助を行うようにしましょう。また、利用者本人や家族にも、正しい方法での食事を心がけてもらうように働きかけましょう。
食事をとる姿勢
食事をとるときの姿勢は、誤嚥の予防に大きく影響します。利用者の身体状態に合わせて、適切・安全で、利用者も心地よい、食事の時間が過ごせるように介助します。
食事中の声かけ
楽しく食事できるような声かけは大切ですが、食べているときに、「おいしいですか?」と答えを求めるような質問をしてしまうと、答えようとした利用者がむせて、誤嚥を招いてしまう恐れがあります。「おいしそうに食べていらっしゃいますね」など、返事がいらないような声かけを心がけます。
堀 美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/ (株) エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携!お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断』(じほう)などがある。イラスト/みやれいこ