現場での経験をもとにした、認知症の利用者と接する際のポイントを取り上げます。具体的な対応も紹介していますので、自身のケアを振り返りながら今後のサービスに活かしてください。
何を言われても穏やかに受けとめる
認知症の人は、相手の表情や気持ちを敏感に察する傾向にあります。ですから、どんなときでも、まずは笑顔を忘れないようにしましょう。表情だけ取り繕っても本心は伝わってしまうものです。“心の中から”を意識してください。サービス中に困ったことが起きた場合も、ホームヘルパーが穏やかに接すれば、安心して落ち着いてくれることがあります。
利用者のペースに合わせてとにかく話を聞く
最初に信頼関係を築くことが大切です。そのためにも、少しずつ会話を重ねていきましょう。その際、利用者が言葉に詰まったり、すぐに返答しないと、「○○ということですか?」など、先走って会話を進めてしまうことがあるかもしれません。しかし、利用者からすると、自分のペースを崩され否定されたような気持ちになります。認知症の人と話す際は、基本的に聞き手にまわり、傾聴する姿勢を忘れないようにしましょう。
会話のきっかけになるキーワードを見つけよう!
表情や声かけの仕方も重要ですが、利用者には、それぞれきっかけになる言葉があるものです。「昨日、息子さんがいらしたのですか?」「お庭の盆栽、素敵ですね」など、利用者が心を開くキーワード(家族、趣味、仕事など)を出すと、その後のケアがうまくいくことが多いです。逆にマイナスに働くワードもあるので、会話を重ねて探っていきましょう。
監修/小沼 巧
ウエルシア介護サービス株式会社 茨城町営業所 訪問介護 サービス管理者。2014年に入社後、サービス全般に関する管理・調整、1人ひとりの思いに寄り添ったサービスの提供に努めている。イラスト/タナカユリ