アセスメントの情報で“肉付け”しよう
ケアプランをもとに訪問介護計画書を作成しようとしても、それだけでは難しいこともあるでしょう。特に、初回に作成されたものであったり、情報収集が難しいケースだったりすると、ケアプランに十分な情報が盛り込まれていないことも。
抽象的な内容に終始してしまうことを避けるために重要なのは、サービス提供責任者やホームヘルパーが行ったアセスメントの内容を、訪問介護計画書に反映させることです。現場で収集した情報を材料として肉付けし、より具体的で参考になる訪問介護計画書へ仕上げることを意識してみましょう。そのためには、いかにアセスメントを効果的に行うかがポイントになります。
的確な「長期目標」と「短期目標」には多くの意義がある
訪問介護計画書を作成するにあたって、多くの人が苦手に感じているのが「長期目標と短期目標の設定」ではないでしょうか。目標を設定するうえで大切なのは、その根拠を明確にすること。ADLやIADLの評価はもちろん、利用者のやりたいことやできることをアセスメント時に聞き取り、それを整理して目標を練り上げていきます。
利用者のニーズがすなわち長期目標に関わってきますが、アセスメントをしてもニーズを捉えるのは簡単ではありません。さまざまな問いかけや、生活環境への気づきが求められます。一方、短期目標はより具体的な内容とし、「すぐ実行でき、効果が見込めるもの」に落とし込む必要があります。
目標を具体的にすることで、訪問を担当するホームヘルパーは、何を目指してどのようなケアを行えばいいのか理解することができます。また、利用者や家族に対しても「これからの生活で、まずはここを頑張りましょう!」という明確な指標を示すことになります。長期目標と短期目標が関係者の意識を変え、心を一つにして生活改善に取り組むことへつながるのです。
アセスメントの内容を訪問介護計画書に反映させるには?
ケアプランを基軸にしながらも、自身で行ったアセスメントの情報を融合させ、どのような目標を設定していけばいいのか、経験を積みながらコツをつかんでいきましょう。
柴田範子(しばた・のりこ)
NPO 法人「楽」理事長として、小規模多機能型居宅介護「ひつじ雲」、サテライト「くじら雲」を運営する。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会委員。元・東洋大学ライフデザイン学部准教授。『イラストでわかる介護職のためのきちんとした言葉のかけ方・話の聞き方』など、著書も多数。イラスト/仲野ひかる