「サービスをしに行く」ではなく「お話をする」姿勢で
実際はサービスをするために訪問しているのですが、それを前面に出してしまうと「急に家に来て、勝手にいろんなことをする」と受け取られてしまうこともあります。信頼関係ゼロからスタートするので、まずは話をして、なじんでいくことから始めましょう。“何かをやりに来る人”では受け入れてもらえなかったときに“話をしに来る人”という姿勢で接してうまくいったケースもあります。
“自立支援”が基本。できることを奪わない
認知症であっても、できることはたくさんあります。備わっている能力を活かし、できることを探しながら支援しましょう。「昨日できたことが急にできなくなる」こともあるので、個別に症状と心を理解し、「できないことは要求しない。できるはずのことは奪わない」という姿勢で関わっていきましょう。
不可解な行動があれば理由を探り、共有する
認知症の人のケアでは、突然、いつもと違う行動に遭遇することがあります。そうした場合も、まずは慌てず落ち着いて対応しましょう。「どうしましたか?」と、やさしく声をかけてください。その後は同調し、「大変ですね」「困りましたね」と、寄り添いながら、少しずつ会話を重ねて理由を探ります。何の目的もなく、不可解な行動に出ることは基本的にありません。気づいたことを事業所に報告し、ケアマネジャーや家族にも伝えてもらい、利用者を支える全員で共有します。
監修/小沼 巧
ウエルシア介護サービス株式会社 茨城町営業所 訪問介護 サービス管理者。2014年に入社後、サービス全般に関する管理・調整、1人ひとりの思いに寄り添ったサービスの提供に努めている。イラスト/タナカユリ