服薬は、“液体(水やぬるま湯など)と固体(錠剤やカプセルなど)”という、形状も、食道を落ちるスピードも異なる物を、一緒に飲み込むという、高度な行為です。そのため、嚥下(えんげ)機能が低下している利用者にとって、服薬は誤嚥(ごえん)を起こしやすい場面となります。飲んだ液体が肺のほうに入ってむせてしまうほか、錠剤が喉に詰まったり、食道に薬が残ったりすると、食道粘膜を傷つけたり、窒息につながる可能性もあります。服薬介助のときには、下記の点に注意しましょう。
また、訪問時以外にも利用者は服薬の機会がありますから、食事の際の注意点同様、利用者本人や家族に服薬時の注意点を伝えることも、ホームヘルパーの大切な役割です。
薬を飲む姿勢
薬を飲むときの姿勢に注意したり、福祉用具をうまく活用することで、誤嚥を防ぐことができます。思わずクイっと顎をあげて薬を飲んでしまわないよう、利用者への声かけも大切です。
堀 美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/ (株) エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携!お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断』(じほう)などがある。イラスト/みやれいこ