個人情報保護というと、利用者や利用者家族を重視しがちですが、自分や事業所仲間の個人情報を漏らさないこともとても大切です。また、たとえ事実だとしても、自分や家族のことをそのまま話すことは、それだけで利用者を傷つけることもあるかもしれません。自分の個人情報を守るためには、どのようなところに気をつければよいのでしょうか。
電話番号は教えない
直接教えていなくても、着信履歴から電話番号を知られてしまうことがあります。電話番号を知られると、仕事の依頼が直接入る、就業時間外に電話がかかってくるなどの事態を招きます。サービスの開始時間の遅れなど、やむを得ず自分の携帯から電話連絡をする際には、非通知設定にするようにしましょう。
住所を知らせない
何気ない会話のなかで「あの公園の前のマンションに住んでいる」などと話して、住所が知られてしまうことも。結果、休みの日に「近所だから」と頼まれごとをされ断りづらくなったり、お歳暮が届いたり、頂き物を持って帰るように言われたり……ということが起こり得ます。
従業員の所在は教えない
事業所に利用者やその家族から電話がかかってきて、「○○さん、いらっしゃいますか?」と聞かれることがあります。このとき、例えばその職員がもう退職していたとしても、即答は避けます。なぜなら、実はこれも個人情報だから。利用者は、その職員がどこかに転職したことを知って、電話をしてきているかもしれません。訪問介護の業界ならではの注意ポイントとして、心に留めておきましょう。
メールのやりとりはしない
個人のメールアドレスの交換も避けましょう。個人的で親密なやりとりが増えると共依存の関係になりやすく、利用者とヘルパーという垣根を容易に超えてしまいます。「事業所には黙っていてね」と金銭の貸し借りが発覚して問題になった例もあります。利用者との適切な距離を保つことは必要です。
家族関係も教えない
利用者に聞かれるまま、「自分の家族のことだから大丈夫」と話していませんか? 例えばその利用者さんが息子を幼いときに亡くしていた場合、自分の息子のことを求められるままに話してもいいでしょうか? 相手によって情報量の差が出ないように、「自分のことをどこまで話すか」を決めておきましょう。
監修/松田吉時
介護福祉士、介護支援専門員。株式会社ケアリッツ・アンド・パートナーズ 取締役副社長。2009年にケアリッツ・アンド・パートナーズに参画。訪問介護事業所を新設してヘルパー業務や管理者業務等に従事後、現在は社員研修、社内監査等を担当。文/元井朋子 イラスト/しまだ・ひろみ