身体の状態も居住環境も利用者それぞれ。だから個別対応&アセスメントが重要に!
高齢になると若い頃より抵抗力や免疫力が落ち、誰でも食中毒や感染症にかかりやすくなります。そのためホームヘルパーは、常に食中毒や感染症予防を心がけなければいけません。
しかし「これをやったら100%食中毒や感染症を予防できる」という方法はありません。さらに在宅の場合、大きな病気はなく、ひとりで外出できる人から、ほとんど寝たきりの状態の人まで、利用者の身体状況はさまざま。ひとり暮らしの人、家族と同居の人など生活環境も異なります。大事なのは、その利用者の健康状態や生活環境に応じた予防策を講じることです。
手洗い、うがいなど食中毒・感染症予防の基本は、どの利用者に対しても必要です。しかし持病の有無や身体状況などにより感染リスクは異なるので、注意すべきポイントは個々に違ってきます。たとえば糖尿病の合併症で神経障害を起こしていると、足に傷があっても自分では気づかず、そこから感染して壊疽(えそ)を起こす危険があります。
「足浴時に感染につながる傷がないかを確認する」など、その利用者にとって何がリスクになるのか、アセスメントをして個別に対応しましょう。
在宅では、高齢者や闘病中の人たちが集団で生活する施設や病院に比べれば、感染のリスクはそれほど高くないでしょう。まずは基本の予防策を確実に行い、必要に応じて適切な対応をとることを徹底してください。
“手洗い”をはじめ基本の予防はいつでも、どこでも
食中毒や感染症予防は個別対応が必須ですが、衛生管理の基本となる手洗いとうがいは、こまめに行いましょう。また、利用者の血液、体液、分泌物、排泄物、傷、口や陰部などの粘膜には素手で触れず、必ず手袋を使いましょう。
手を洗うときは、洗浄剤を使って指の間から手首までしっかりと洗い、汚れを落とします。流水でよく洗い流し、乾いたタオルで拭きましょう。2度繰り返すのが基本の手順です。
監修/倉井千恵
セコム医療システム株式会社 ケアサービス部課長。看護師、ケアマネージャー。1998年に入社。訪問看護、訪問介護、ケアマネジャーの実務を経て、現職。在宅介護を展開する部署で、おもに組織作り、人材の育成を担当。文/植田晴美 イラスト/岡村奈穂美