介護する側が若ければ若いほど、健康で体もよく動き、よく見え、よく聴こえるため、年をとることがどういうことなのか、生活環境のなかで何が危険なのか、何が障害になっているのかピンとこないのも無理はありません。
最近は、白内障や視野狭窄(きょうさく)の状態が疑似体験できるゴーグル、肘・膝の可動域を狭めたり、手足に重りをつけたりするスーツなどが開発されています。もし機会があれば、それらを使って老化を疑似体験してみるのもよいでしょう。
たとえばゴーグルをかけて見ると、白い壁の上の電灯の白いスイッチは、同化して判別できない……という事実が初めてわかります。スーツを着用してみると、トイレで座ったり立ったりするのがいかに大変なのかも実感できます。
若くて健康な人には想像もつかないような危険が利用者のまわりには潜んでいることを知っておきましょう。そのためには、「これは危なそうだ」と危険を予測する感覚を磨くことが大切です。本誌7ページのイラストを見て、考えてみましょう。
監修/柏瀬美奈子
ヒューマンライフケア株式会社・人事部 育成担当 ジュニアマネジャー。介護福祉士。施設介護、通所介護、訪問介護などの職を経て、人材育成、資格講座の講師を担当。2013年より現職に就き、研修企画、業務開発などに従事。これから「介護」を目指す人の熱い想いを支え、その教育・研修を提供することで、地域・社会への貢献を果たしている。取材・文/寺尾まり イラスト/しまだ・ひろみ