身近なところで利用者と接している訪問介護職こその「気づき」が重要
高度な医療の知識があれば、もちろん望ましいですが、なかなか難しい部分もあるでしょう。そこでまず、訪問介護職の皆さんに徹底して欲しいのは、利用者の普段の状態をしっかり観察することです。会話をし、声を聞き、体に触れるなど、利用者の生活に入って支援するからこそ気づける「いつもと違う」があります。
「反応が遅い気がする」「昼間から眠たそうにしている」「歩くときに転びそうになった」などの違和感から、重大な疾病を早期発見できることもあります。そして「いつもと違う」と感じたら、その「気づき」を客観的な情報としてケアマネジャー、医療職へとつなげることが大事です。
さらに、ケアマネジャーや医療職などが、特に注視している身体状態を把握し、配慮して観察することも必要でしょう。今回はその内容を詳しく取り上げ、具体的な観察ポイントを紹介します。利用者が健康で自立した生活を送れるようサポートしていきましょう。
覚えておこう!加齢による体と心の変化をチェック!
個人差はありますが、誰しも加齢にともない生理的な機能が低下します。ここでは高齢者に見られる体と心の変化のうち、代表的なものを取り上げました。介護職が知っておくべき基本の知識として頭に入れておきましょう。
- 認知機能の低下
- 口腔内の変化
- 感覚器の変化
- 心臓と血管の変化
- 腎・泌尿器系の変化
- 呼吸器・消化器の変化
- 体内水分量の減少
- 運動機能の変化
- 体や生活の変化による心の変化
監修/木村隆次
薬剤師。ケアマネジャー。大学卒業後、製薬会社でMR(医薬情報担当者)として勤務した後、青森市内で薬局を開業。介護保険制度のスタートと同時に居宅介護支援事業所を開設。日本介護支援専門員協会の初代会長を務め、現在は青森県介護支援専門員協会副会長、青森県薬剤師会会長。 日本健康・栄養システム学会、日本地域薬局薬学会所属。取材・文/植田晴美 イラスト/フジサワミカ