「養介護施設従事者等」とは、介護保険法や老人福祉法で規定されている介護施設・事業の業務に従事している人のことで、ホームヘルパーも含まれます。いわば“介護のプロ”による行為のうち、どんなものが虐待に当たるのでしょうか。高齢者虐待防止法による5つの分類をもとに、具体的に見ていきましょう。
身体的虐待:高齢者の体を傷つけたり苦痛を与えたりすること
- 殴る、つねる、やけどをさせるなど痛みや外傷を与える
- 医学的判断に基づかない痛みを伴うようなリハビリを強要する
- 嫌がっているのに、無理やり食事を口に入れる
- 移乗の際に体を無理に引きずったり、必要以上に高く持ち上げたりする
- ベッドに縛りつけたり、外から鍵をかけて部屋に閉じ込めたりする(※)
など
※介護保険施設等では、「緊急やむを得ない」場合をのぞき、身体拘束やその他の行動制限は原則として禁止されています
放棄・放任(ネグレクト):高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること
- 受診させない、救急対応を行わない
- 処方どおりの服薬をさせない
- 水分や栄養を摂取させない、管理を怠る
- 生活に必要なメガネや義歯を使用させない
- 冷暖房を使わせないなど劣悪な環境に長時間置く
- 同僚(介護職)や家族からの虐待行為を放置する
など
監修/小川久美子
公益社団法人あい権利擁護支援ネット講師。社会福祉士。多様な高齢者福祉施設の現場経験に基づき、高齢者虐待対応や成年後見に関しての助言・指導を行うほか、全国で数多くの研修を担当する。イラスト/尾代ゆうこ
参考文献:『「その人らしさ」を大切にしたケアを目指して』(公財) 東京都福祉保健財団