日々のサービスを実施するなかで、“虐待”の芽を摘むための好循環が自然に生まれるのが理想的です。そのために現場で心がけたい、3つの視点を学びましょう。
組織としてできる取り組み
1.理念の共有
利用者の尊厳を尊重したケアを行うために、事業所ではどのような理念や方針を掲げているでしょうか。ホームヘルパーがそれを理解し、具体的なかたちで実現できるように支援するのが事業所の役割です。日ごろからミーティングなどで組織としての考えを共有し、虐待が起きたときの対応についても明らかにしておきましょう。
2.チームケア
一人でサービスに入ることの多い訪問介護では、ホームヘルパーが孤独を感じやすいといえます。事業所のメンバーや他職種と連携し、チームで利用者を支えるのだということを繰り返し伝えましょう。一人ですべてを抱え込むことのないよう、現場の声を収集しやすい環境を整え、情報共有の仕組みを整備することが大切です。
3.ホームヘルパー・サービス提供責任者のストレスマネジメント
過酷な労働環境や無理のあるシフトが、現場のホームヘルパーやサービス提供責任者を追い詰めてしまうケースは少なくありません。自分が大切にされなければ、人を大切にすることも難しくなるもの。虐待という負の連鎖を生まないためには、まず事業所のメンバーを尊重し、ストレスマネジメントに努める必要があるのです。
監修/小川久美子
公益社団法人あい権利擁護支援ネット講師。社会福祉士。多様な高齢者福祉施設の現場経験に基づき、高齢者虐待対応や成年後見に関しての助言・指導を行うほか、全国で数多くの研修を担当する。イラスト/尾代ゆうこ
参考文献:『「その人らしさ」を大切にしたケアを目指して』(公財)東京都福祉保健財団