まず、皆さんはリハビリテーションについてどのように認識しているでしょうか。
「リハビリテーションは、病院や施設などで、理学療法士や作業療法士などが行うもの。医療行為になる」「ホームヘルパーは一切のリハビリテーションを行えない」と思っている方も多いかもしれません。
確かに、理学療法士が行う、利用者の手や足を持つ関節可動域訓練や筋力を向上させるような訓練は医療行為ですので、訪問介護職はできません。しかし、リハビリテーションはそのような医療行為的な目的以外にも幅広く行われているものです。
リハビリテーションは、「Re(再び)+Habilis(適した)」というラテン語に由来しています。つまり「再び適した状態にすること」がリハビリテーションの意味・目的になります。その方法は、医療的な支援はもちろんのこと、教育的な支援、社会活動のための支援、日常生活上の支援など様々です。
そしてそれらの担い手は、医療従事者だけでなく、教育機関、職業分野ごとのトレーナー、福祉分野など多岐にわたります。そのなかで、ホームヘルパーも日常生活の場面でリハビリテーションを目的とした支援を行うことが可能となっています。
また、患者や要介護者を対象としたリハビリテーションは、その必要な時期ごとに機能が次のように分類されています。
急性期リハビリテーション
病気になってから早期に行われるリハビリテーション。
回復期リハビリテーション
リハビリテーション専門の病院や施設などに移って行うリハビリテーション。
この2つは、おもに医療職を中心に行われますので、訪問介護職の関与は想定されていません。そして、この段階を経た人は、退院・退所して日常生活に戻ります。しかし、リハビリテーションは継続して行う必要のある人が多く、引き続き自宅などで回復した身体機能を生活場面で活用することが重要になります。この段階を「生活(維持期)リハビリテーション」といいます。
そして、生活リハビリテーションを行ううえで重要となるのが、訪問介護職などの日常生活に直接関わる専門職です。
『へるぱる2018 11・12月』では生活リハビリテーションを詳しく掘り下げています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員、日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、日本介護支援専門員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ