高齢者によくみられるおもな皮膚疾患を紹介します。各疾患によって対応は異なるため、異変に気づいたら、皮膚科の受診をすすめるなど医療機関につなげ、適切な対応をするようにしましょう。
老人性皮膚掻痒(そうよう)症
「掻痒」とは、痒(かゆ)みのことで、掻痒症は発疹などの炎症がないにもかかわらず、痒みを感じる状態です。高齢者の場合、皮膚の乾燥が原因のほとんどで、高齢者特有のものを老人性皮膚掻痒症と呼びます。露出している腕や脚に多い症状ですが、腰や背中にもみられます。
皮脂欠乏性湿疹(皮膚炎)
皮膚の乾燥が進み、痒みが出るため、かきむしってしまうことが多く、皮膚が炎症を起こし、赤くブツブツと湿疹が出ます。腰からお尻、膝下や足などによくみられます。
皮膚カンジダ症
原因となるカンジダ菌は人の皮膚に常在している菌ですが、高齢者の場合、免疫力の低下などによって増加し、紅斑などの湿疹を起こします。陰部や腋の下によくみられます。
※『へるぱる2018 11・12月』ではおもな皮膚疾患のほか詳しい構造や機能の解説をしています。
堀 美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携!お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断』(じほう)などがある。イラスト/みやれいこ