【柴田先生の経験から】「この人の言うことなら聞く」という相手を見つける
言葉選びだけでなく、その利用者にとって“信頼できる人”を探してみましょう。家族や医師、役所の人などが、その相手である場合が多いです。
以前、尿失禁しても下着を換えない、90代の女性利用者さんがいました。布団や畳も湿って腐り、本人の健康状態、住環境の衛生状態も赤信号でした。リハビリパンツをすすめても首を横に振るばかり。打つ手がなく困っていたところ、普段の会話から、昔お世話になった医師に信頼を寄せていることが判明。相談したところ、「わかった、俺が説得する」と訪問してくれました。「すごくいいからはいてごらん」とリハビリパンツを渡すと、素直にはき替えてくれ、その後はすんなり介助ができました。
『へるぱる2018 11・12月』ではより詳しく解説に導くコミュニケーションのポイントを解説しています。
監修/柴田範子
NPO法人「楽」理事長として、小規模多機能型居宅介護「ひつじ雲」、サテライト「くじら雲」を運営。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会委員。元・東洋大学ライフデザイン学部准教授。『イラストでわかる介護職のためのきちんとした言葉のかけ方・話の聞き方』(成美堂出版)など、著書も多数。取材・文/寺尾まり イラスト/さいとうかこみ