リスク管理は利用者との契約時からはじまっている
事故は、いつ、どのようなタイミングで起こるかわかりません。利用者や家族との関係性がスタートする契約時から、事故防止を意識した取り組みが必要です。
契約を交わす際、説明を省略しすぎると、あとからトラブルにつながることもあります。特に「事業所が賠償責任を負うケースとそうでないケース」などの重要事項については、一緒に書面を見ながら、必ず口頭での確認も実施しましょう。
また、当初から緊急時の対応や連絡方法について確認しておくことも重要です。例えば「利用者の意識がない」といった緊急時を想定し、優先的に連絡する人物や連絡手段、主治医の名前と連絡先、救急車を呼ぶケースなどを聞いておきます。あらかじめ緊急連絡票としてまとめておき、初回訪問時からホームヘルパーへ情報提供しましょう。
「いざというとき」に備えて利用者や家族と話し合っておくことで、ホームヘルパーは安心して働くことができ、結果として事故防止にもつながるのです。
すぐに実施しよう!
ホームヘルパーと一緒にできる、実践的な事故防止の取り組みを紹介します。
「ドキッとしたケース」について話し合う機会をつくる
事故発生時だけでなく、ヒヤリハットや、それ以上に小さな「気づき」について共有することも有効です。現場に入ったホームヘルパーが「ドキッとしたケース」について話し合う機会を定期的に設けてみましょう。現場の情報と、それに対する分析を積み上げていけば、事故再発防止に役立つ事業所の財産となるでしょう。
定期的に研修や勉強会を実施
ホームヘルパーに正しい知識や技術を修得してもらうため、事業所として、折に触れ学ぶ機会を提供することが求められます。研修や勉強会をセッティングするほか、各自が安全マニュアル(事故防止マニュアル)の内容を理解しているか確認するようにしましょう。
監修/岩永美穂
東京海上日動ベターライフサービス株式会社 ソリューション事業部 専門部長。社会福祉士、ケアマネジャー。訪問介護、居宅介護支援を運営している同社において、ホームヘルパー、サービス提供責任者等の研修体系の構築・社内講師の育成を担当後、現在は自社で構築したノウハウをもとに、介護サービス事業者向けのセミナー講師として全国で活躍中。取材・文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/しまだ・ひろみ