介護に関わる法令は多岐にわたるため、まずは特に重要なものに絞って全体を把握することが大切です。基本的な関係法規の概要と、特に確認しておきたいポイントを、それぞれ押さえておきましょう。
介護保険法
社会全体で高齢者を支える介護保険制度について定めた法律で、2000年にスタートした。「社会保険方式」「利用者本位」「自立支援」であることが大きな特徴。2018年の改正では、地域包括ケアシステムの強化、医療・介護の連携やリハビリの強化、老計10号の見直しなどが行われた。
老人福祉法
高齢者の心身の健康保持や生活の安定を目的として、1963年に施行、1972年に一部改正。現在では、介護保険法などの適用が難しいケースにおいて、老人福祉法の規定に従うこととなる。
高齢者虐待防止法
高齢者に対する虐待を防ぎ、その尊厳を守るだけでなく、養護者(介護を担う人)への支援についても規定されているのが特徴。
医師法(第17条における医行為の範囲)
医師でない者の医行為を禁じることを定めた内容だが、2005年の解釈通知で、介護の現場において医行為から除外される範囲が明示された。
感染症法
常に感染症予防に努めることはもちろん、感染が疑われた場合はただちに医師の判断を仰ぐなどして、拡大防止に努めることが定められている。
法令のチェックポイントは本誌で解説しています。
監修/柏瀬美奈子
ヒューマンライフケア株式会社・人事部 育成担当 ジュニアマネジャー。介護福祉士。施設介護、通所介護、訪問介護などの職を経て、人材育成、資格講座の講師を担当。2013年より現職に就き、研修企画、業務開発などに従事。これから「介護」を目指す人の熱い想いを支え、その教育・研修を提供することで、地域・社会への貢献を果たしている。取材・文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/しまだ・ひろみ