認知症の症状は「中核症状」と「BPSD(行動・心理症状)」とに大きく分けられます。私たちにとって不可解な言動も、症状のひとつだと知っていれば、落ち着いて対応できるでしょう。
中核症状
認知症になると誰にでも現れる症状。脳の神経細胞が正常に機能しなくなったことで起こる。アルツハイマー型認知症の見当識障害、レビー小体型認知症の幻視・幻聴など、それぞれの病気によって症状は異なる。
BPSD(行動・心理症状)
その人の心身状態、生活環境、人間関係などが絡み合って現れる症状。個人差が大きく、症状が現れない人もいる。介助法や接し方も大きな要因となる。
介護職の対応によってBPSDは緩和・予防することができる
ホームヘルパーや家族など、介護をする人が対応に悩むことの多い「BPSD」。常に症状が現れるわけではありませんが、起きた場合はサービスに支障をきたす言動があり、困ってしまうという声をよく聞きます。
しかし中核症状と違い、BPSDは防ぐこともできます。利用者の気持ちに寄り添った声かけや対応をとれば、症状がおさまったり、そもそも発症を防ぐことができます。日頃から、認知症の人が不安になったり、混乱したりすることがないよう、気持ちを受け止めながらケアにあたりましょう。
監修/倉井千恵
セコム医療システム株式会社 ケアサービス部課長。看護師、ケアマネージャー。1998年に入社。訪問看護、訪問介護、ケアマネジャーの実務を経て、現職。在宅介護を展開する部署で、おもに組織作り、人材の育成を担当。文/植田晴美