便秘とは
便秘は、一般的に排便の間隔が3、4日以上空いており、膨満感や残便感、肛門が詰まったような感覚、腹痛などの症状を伴う状態のことをいいます。便秘が続くと、不快感や圧迫感が常にあることから、食事量が減る、外出意欲が低下するなど、QOL(生活の質)全体の低下にもつながります。
ホームヘルパーによる気づき
便秘は、下痢などに比べて、利用者自身に自覚がなかったり、あっても我慢してしまうなど、なかなか表層化しない症状でもあります。便秘の早期改善に向け、ホームヘルパーには、利用者の変化に気づき医療職につなげる役割が求められます。
把握しておきたいポイント
- 排便の間隔
- 便の量
- 残便感
- お尻の違和感(肛門に何か詰まったような感覚がする)
- お腹が張っている など
「食後には必ず」や「2日に1度でも満足」など、利用者によって排便状況は異なりま
す。これらの情報から利用者個人の排便リズムを知り、その人のリズムに合わせた介助を行いましょう。
ここに注意!
便秘によって便が肛門を塞いでしまい、その隙間から流れ出た便を見て、軟便(下痢便)と勘違いしてしまうケースがあります。こうした勘違いは危険です。利用者の状況を、注意深く観察しましょう。
本誌では「便秘の分類」「便秘対策の5つの視点」「服薬」など現場で役立つ医療知識をご紹介しています。
堀 美智子
薬剤師。帝京大学薬学部医薬情報室を経て、1998年医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー設立に参画。現在は医薬情報部門責任者。東京・八王子「公園前薬局」店頭にも立ち、生活者の視点から医薬情報を発信している。著書に『介護職必携! お年寄りの薬おたすけブック』(メディカ出版)、『処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断 』(じほう)などがある。イラスト/みやれいこ