元気なシニアと介護事業者をマッチングさせる試み
介護福祉業界は慢性的な人材不足。一方で、企業や家庭での役割に一区切りをつけ、その後の新たな生きがいを求める元気なシニアは少なくありません。しかし、この両者をマッチングさせる仕組みは、未整備なままでした。
そんななか、経済産業省の平成30年度健康寿命延伸産業創出推進事業として、「ソーシャル・サポーターズ」(代表団体:株式会社日本医療企画、協力団体:横浜みなと介護福祉事業協同組合等)による「ベテランズ事業」が昨年10月から神奈川県横浜市・川崎市にて実施されました。
成果を受けて、今年度も新たな地域を加えて展開
事業に参加したシニア63人のうち、2019年5月末現在、17人の就労先が確定。このうち5人が正職員での採用となりました。今後も採用面接をおこない、マッチングを進める予定です。
こうした成果を受け、今年度は東京都豊島区でも参加者を募集し、事業をおこなう計画が進行しています。
ただし、課題もあります。初年度は、人事や経理等の高いスキルを持つシニアも参加し、こうした人材へのニーズもありましたが、受け入れ体制が整わない事業者もありました。
そのため、小規模事業者など、1法人での雇用が難しい場合は、業務委託や事業組合での雇用なども検討中です。今後は、就労先の確保などの課題に対応することで、より多くの“ベテランズ”の活躍が期待されます。
監修/⾼室成幸
ケアタウン総合研究所代表。全国の市区町村、ケアマネジャー団体、社会福祉協議会、地域包括⽀援センターなどで講演するほか、施設⻑や管理職向けに⼈材マネジメントの研修もおこなう。著書に『30のテーマでわかる︕地域ケア会議コーディネートブック』(第⼀法規)他多数。
取材・⽂/宮下公美⼦