Q 自宅のお風呂が壊れてしまい、2軒先の温泉施設での入浴介助を頼まれました。引き受けていいですか?
たまたま利用者宅の2軒先に日帰り温泉施設があり、歩いて(車いすで)行ってもすぐの距離です。貸切風呂があるので個浴ができ、ホームヘルパーの入館料も払うといっています。こうした条件であれば、対応していいですか?
A 訪問介護は自宅内で提供するサービスです。よって、対応できないと考えられます。
どれだけ条件が整っていたとしても、自宅以外での入浴介助は不適切と判断されるでしょう。
【こう考えよう】
訪問介護は原則として住所地がある自宅内で提供するサービスです。例外的に買い物援助や通院介助がありますが、その場合も“自宅を起点とし、自宅を終点とすること”が要件で、目的を果たすために外出しなければならないという理由で認められています。
その点、入浴介助は自宅の浴室を使用しての対応が想定されています。そのため、介護保険で対応するのであれば、自宅のお風呂が壊れた場合、デイサービスでの入浴や訪問入浴が優先されます。
そのことを説明したうえで、「どうしても温泉施設で入浴したい」というのであれば、すべてを自費対応でおこなうことになるでしょう。
本誌では、⼊浴介助や清拭の際に迷いがちな事例と対応⽅法について詳しく解説しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉⼠、主任介護⽀援専⾨員、相談⽀援専⾨員、⽇本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、⽇本介護⽀援専⾨員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン 第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。
イラスト/藤原ヒロコ