最初に紹介する改正ポイントは、訪問介護における基本報酬と人員基準に関する内容です。「身体介護」と「生活援助」、それぞれの担い手が明確化されています。
【ステップ1】どんな内容?
身体介護は介護福祉士の資格を持ったホームヘルパーが中心になって担当。生活援助は新研修修了者を活用
今後、ホームヘルパーには、より専門的な介護スキルが必要となる「身体介護」を中心に担うことが期待されています。そのため、「生活援助」に新しい人材を活用できるよう、「生活援助従事者研修」が新設されました。
気になるQ&A
Q.生活援助従事者研修とはどんなもの?訪問介護職も受けたほうがいいの?
A.訪問介護の「生活援助」を中心としたサービスの担い手を育てるための研修です。内容は初任者研修と同様ですが、時間は約半分の59時間。訪問介護職はすでに学んだ内容なので、新たに受ける必要はありません。
Q.今後、介護福祉士の資格を持っていないと身体介護ができなくなるの?
A.今のところ、そのような話はありません。しかし、国家資格である介護福祉士を高い専門性を持った資格として扱うようになってきています。
【ステップ2】なぜ改正したの?
質の高い身体介護への期待と介護人材不足の解消のため
今後、ますます介護人材が不足し、在宅の重度者も増加していくなか、訪問介護は、地域包括ケアシステムにおける「自立支援」と「重度化防止」を実現するために鍵となるサービスです。そのため、ホームヘルパーはできるだけ専門的な介護スキルを磨き、重度者のケアを中心に支えてほしいというのが国の狙いです。その分、足りなくなる「生活援助」の担い手を呼び込むために、新しい研修制度が創設されたのです。
本誌では改正を受けて今後どうすべきかについてわかりやすく解説しています。
監修/平井丈雄
東京海上日動ベターライフサービス株式会社 支援・教育部部長、在宅介護事業部部長。2004年同社入社、みずたま介護ステーションの立ち上げと運営担当を経て、2016年より現職。介護事業企画・人材育成・業務システム・事業所支援を担当。イラスト/細川夏子