ハラスメント被害に対して介護職が声を上げられるように!
ハラスメントに対する意識の高まりを、皆さんも日々の生活から感じていることでしょう。スメルハラスメント、マタニティハラスメントなど、種類も年々、細分化されています。
また、昨年はスポーツ界で横行したパワーハラスメント(以下パワハラ)、アメリカで始まったセクシュアルハラスメント(以下セクハラ)被害をSNS上で告白する「#Me Too」運動などが、連日メディアで取り上げられました。数多くのハラスメント問題が噴出したことで、「ハラスメントを許してはいけない」「被害に遭ったら声を上げていい」という意識が、一気に広がった年でした。
介護業界でも、日本介護クラフトユニオン※が、介護職を対象に利用者やその家族からのハラスメントについての調査を実施。その結果、回答者の約7割がハラスメントを経験していたことがわかったのです。「被害に遭った」と回答した人のうち、9割以上がパワハラを経験。セクハラも約4割に上りました。
この調査結果を受け、国も迅速に動きました。介護現場でのハラスメントの実態を調査し、今年3月に調査結果を発表。「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を作成して、4月には通知を出し、各介護事業所にハラスメント対策を求めたのです。
※介護業界で働く人の幸せを目指して活動している労働組合。
本誌では、介護現場における3種のハラスメントの定義について解説し、介護職へのハラスメントについて考えるワークショップの具体的な⽅法を紹介しています。
監修・執筆/神⾕洋美
全国ホームヘルパー協議会 会⻑。社会福祉法⼈ 豊⽥市社会福祉協議会 旭⽀所 ⽀所⻑。平成30年度厚⽣労働省⽼⼈保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究」委員会のメンバーとして、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の作成に携わる。取材・⽂/宮下公美⼦、⼭⽥智裕 イラスト/尾代ゆうこ