Q 元気な頃は和装だったこともあり、「デイサービスに行く日は髪をお団子にしてほしい」と。引き受けてもよいですか?
現在の状況
元日本舞踊の師範で、美容にはかなり気を遣っている利用者です。元気な頃は日常的に着物で、髪も毎日結っていたそうです。さすがに今は洋服ですが、デイサービスに行く日は髪をきっちりまとめてほしいと頼まれました。
左上肢に麻痺があるため、自分ではうまくできず、介助を求めています。手慣れたホームヘルパーであればサッとできますが、経験のないホームヘルパーだと時間がかかって困っています。
A 程度にもよりますがお団子にすること自体は可能です。
一概に「お団子だからNG」とは言い切れないため、対応はできます。但し、技術を要したり、時間がかかったりする場合は不適切と判断されるでしょう。
こう考えよう
「これはOK」「あれはNG」という明確な基準はありませんが、介護保険制度などの社会保障で対応できる範囲内でなければならないことから、目安として、髪を結うことの難易度や所要時間などで判断します。ですから、専門的な技術を要するものや、何十分もかかる整髪は不適切といえるでしょう。一般的な三つ編みやお団子程度であればギリギリ対応可能かと思います。
但し、ホームヘルパーによっては、簡単なお団子ヘアといわれても、経験がなく、髪をまとめるのに四苦八苦することもあるでしょう。人員に余裕があれば、得意なホームヘルパーが担当することで対応できますが、そうではない場合、「お団子ができる」ことを基準として、担当を決めるのは本来の目的からずれてしまいます。対応については事前に協議し、必要であればケアプランの変更や自費対応なども検討しましょう。
本誌では、⾝だしなみを整える介助で迷いがちな事例と対応⽅法について詳しく解説しています。
監修・執筆/能本守康
介護福祉⼠、主任介護⽀援専⾨員、相談⽀援専⾨員、⽇本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー、⽇本介護⽀援専⾨員協会常任理事、(株)ケアファクトリー代表取締役などを務める。著書に『Q&A 訪問介護サービスのグレーゾーン第3次改訂版』(ぎょうせい)などがある。イラスト/藤原ヒロコ