85歳のKさんは認知症で要介護3の女性。同居している難病を患う娘さんと仲が悪く、ケンカばかり。ゴミの出し方で揉め、以来「ゴミは出さない」と、自分の部屋にため込むようになりました。
この現場の主人公:本木あかねさん(42歳・仮名)
訪問介護歴7年。4月からサービス提供責任者に。休日は、中学生の娘とお菓子作りを楽しんでいるそう。
9月×日 訪問3カ月目
娘さんとの口論を機に、ゴミを出さなくなったKさん。「出しませんか?」と声をかけても、「自分でできる」と言うのみ。6畳の自室に生ごみや尿取りパッドなどが詰まったゴミ袋が増えていく。
10月×日 訪問4カ月目
ゴミを出さなくなって1カ月以上。部屋はゴミ袋の山。においもかなり気になる。娘さんから「何とかして」と涙の訴えが。もはやうちの事業所だけで解決できる問題じゃない……。
10月×日 訪問4カ月半目
ケアマネなどと事例検討会を実施。その中で「ゴミで困っているのは家族や私たちで、Kさんではないのでは?」という意見が。その言葉に納得でき、少し俯瞰して見守ることに。
11月×日 訪問5カ月目
娘さんに「少し様子を見ましょう」と伝えつつ、Kさんにはゴミについて触れないようにして半月。すると、Kさんが自らゴミを出すようになった!
解決!
「本当に困っているのは誰か?」を整理して対応したら、利用者の心がほぐれ、ゴミを捨ててくれた
本誌では、訪問介護の現場で起こりがちな問題を他のホームヘルパーさんがどのように乗り越えたか︖ ヘルパーさんの体験談をもとに、解決するまでを紹介しています。
※紹介している内容は、事実をもとに⼀部編集しています。
イラスト/⼭⼝まく