ひと口に「法令」と言っても、その種類は多岐にわたります。ホームヘルパーが優先的に理解しておくべきなのは、一体どんな法令でしょうか?
まずは重い罰則のある法令をチェック
「介護に関係する法令」というと、介護保険法や老人福祉法などをイメージする人が多いでしょう。もちろん、どの法令も重要ですが、業務に当たるうえで真っ先に知っておくべきは「違反すると重い罰則のある法令」です。罰則があるということは、人の命や財産を守るうえで絶対に守らなければいけない社会のルールであることを意味します。
ホームヘルパーが日常的におこなうサービスのなかには、一歩間違えれば利用者を傷つけかねないものが含まれます。「ルール違反をすると、どんな罰則があるのか」を理解することは、安全に業務をおこなうためにも、自分自身を守るためにも、極めて重要なことなのです。
「虐待=刑法に触れる犯罪」! 厳しい罰則も
それでは、高齢者への虐待を例に見ていきましょう。真っ先に思い浮かぶのは「高齢者虐待防止法」ではないでしょうか。でも、これは国や自治体の責務を定めた法律で、高齢者の人権擁護や養護者への支援を主眼としたもの。介護職に対して、虐待の早期発見や防止のための対策を求めているものの、あくまでも努力義務です。
ここでポイントとなるのは、高齢者虐待防止法で定義する虐待はすべて刑法に触れる犯罪であるということ。虐待をした人は、刑法によって裁かれます。例えば、利用者に身体的虐待をおこなえば、暴行罪や傷害罪に問われる可能性があります。相手の身体を傷つけて傷害罪と認められた場合には、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることとなります。
本誌では、罪に問われる可能性のある3つの事例を紹介しています。
監修/山田 滋
株式会社安全な介護 代表取締役。おもにリスクマネジメントをテーマに、年間150回のセミナーをおこなう。『完全図解 介護リスクマネジメント』(講談社)など、著書も多数。取材・文/ナレッジリング(中澤仁美)