自分たちの働く事業所が、ハラスメント問題に対して誠実に取り組んでいれば日常的に話題にでき、安心して働けるでしょう。すなわちそれは、“芽”の段階で摘み取ることにつながります。そのためにすべきことを重点的にみていきましょう。
ハラスメントは絶対NG! 事業所の方針を定め、全員で共有する
まずは、ハラスメントに対する基本的な考え方や対応についての方針を定め、それに基づいて取り組むことが重要です。「セクハラは絶対にあってはならない」「暴力はどんな場合も組織として許さない」など、具体的な考えも明示します。
そのうえで、未然防止マニュアルを作成し、スタッフ全員で共有します。現場からも声を上げ、状況に応じて、その後も見直しや更新を適宜していきましょう。
いつでも気軽に報告・相談できる窓口をつくる
気になることがあれば、すぐに相談できるよう、担当者を決めて職員全員に周知します。できれば担当者は複数にし、話しやすい相手を選んで相談できるようにするといいでしょう。「まずはメールでもOK」など、敷居を低くするのもひとつの方法です。
セクハラなど、よりプライバシーに関わる内容については、安心して話せる環境をつくり、他の人に聞かれない時間帯に同性の職員が話を聞くなど、最大限の配慮をします。
本誌では、ハラスメントが起こりにくい体制づくりのヒントや、実際に現場で取り組まれている対策なども紹介しています。
監修・執筆/神谷洋美
全国ホームヘルパー協議会 会長。社会福祉法人 豊田市社会福祉協議会 旭支所 支所長。平成30年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究」委員会のメンバーとして、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」の作成に携わる。取材・文/宮下公美子、山田智裕 イラスト/尾代ゆうこ